こんにちは。でこぺんです。
【繊細さんの絵本箱】は、司書でこぺんが、心のでこぼこに効く絵本を紹介するコーナーです。
第3回目は『翻訳できない世界のことば』をご紹介します。
こんな絵本です
うまく言葉にできないけれど、大事にしたいような気持ちや感覚。誰にでもあると思います。
この本には、他国の言葉ではそのニュアンスをうまく表現できない言葉や感情が集められています。
パッチワークのような美しい表紙やイラストも、想像力をかきたてます。
その国の風景や暮らしならではの言葉たち
世界のいろいろな言語の、他国語ではうまく表せない言葉たち。ある時の感情にしっくりくるものから、クスッと笑ってしまうものまで、収録された全108語の中からいくつかをご紹介します。
気持ちを表すことば
コンムオーベレcommuovere
【イタリア語】涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる。
フォレルスケットforelsket
【ノルウェー語】語れないほど幸福な恋におちている。
ヴァルトアインザームカイトwaldeinsamkeit
【ドイツ語】森の中で1人、自然と交流するときのゆったりとした孤独感。
風景をあらわすことば
モーンガータmangata
【スウェーデン語】水面にうつった道のように見える月明かり。
その国ならではのことば
ポロンクセマporonkusema
【フィンランド語】トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離。
ちなみに7、5kmだそうです。
ピサンザプラpisang zapra
【マレー語】バナナを食べるときの所要時間。
ここがおすすめ
収録されていることばの1つ1つは短いですが、そのひとことが呼水となって、想像を巡らせたり記憶が呼び起こされたりと、豊かな経験が広がっていきます。
同じことばであっても、きっと人それぞれ心に描かれるものは違うでしょう。そんなことばの奥深さにふれることができる一冊だと思います。
お子さんであれば小学校高学年くらいから。中高生や大人にもぜひおすすめしたい本です。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
補足
同じ著者&訳者のタッグで、世界のことわざを紹介した本もあります。世界にはまだまだ知らないことがいっぱいですね。
次回の「心によりそう本」では、加藤路瑛さんの『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』をご紹介します。読んでいただけたらうれしいです。