【レビュー】 『BLUENO(ブルーノ)』Fukase作

BLUENO
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でこぺん

「繊細さんの絵本棚」は、HSP特性ありの学校司書でこぺんが、HSP&HSCさんにおすすめしたい絵本を紹介するコーナーです。

はんぺん

第2回目の今回は
『BLUENO(ブルーノ)』
Fukase(フカセ)著を
をご紹介します。

目次

『BLUENO(ブルーノ)』はこんなお話

舞台は平和な王国ブルーノ。そのなかにある小さな村シルバ。

ある日、大嵐が村を襲います。

家を失い、家族を亡くして途方にくれる人々。

「大丈夫」」「すぐに王様が、兵隊さんをつれて助けにきてくれるから」

けれども王様は、助けに来ませんでした。

国のみんなに優しくて、愛されていた王様。王様を信じていたみんなは、王様を憎みはじめます。


平和な王国ブルーノ。王様は、国民のことを大好きでした。

大嵐の日、王様は迷いました。

どうしたら国民みんなを助けられるのか。兵隊たちも死なずに、すべての生き物を救えるのか。

もう自分だけで今すぐ助けに行きたい気持ちをこらえて、夜も眠らず考えました。

嵐が止むとすぐに、兵隊を連れて出発した王様。ところが…。

おすすめポイント

この本には裏表紙がありません。本の裏と表、その両方が表紙です。

片側から読むと、村人タルカスの物語。もう片側から読むと、王様の物語。

本の真ん中で、二つの物語が交わります。

ひとつの出来事の中に、人の数だけ思いがあり事実がある。正しさってなんだろう、と考えさせられる絵本です。

著者FukaseがボーカルをつとめるSEKAI NO OWARI の楽曲に、「Dragon Night」という曲があります。私はこの曲が好きです。

人はそれぞれ「正義」があって
争い合うのは仕方ないのかも知れない

だけど僕の「正義」がきっと
彼を傷付けていたんだね

ドラゴンナイト 今宵
僕たちは友達のように歌うだろう

ーDragon Night歌詞より抜粋

人には人の数だけ正義があって、それでいい。

自分にも自分だけの正義があって、それでいい。

そうやって思い合えたなら、もしかしたらタルカスたちと王様がふたたび笑いあえる未来があったのかもしれません。

相手の正義と自分の正義をうまく共存させていけたらいいなあと思います。難しいですけどね。

BLUENO(ブルーノ)
作・絵  Fukase(ふかせ)
発行 福音館書店 / 20cm 48p 

次回の「心によりそう本」では、『翻訳できない世界のことば』を紹介します。読んでいただけたらうれしいです。

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