【レビュー】『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』加藤路瑛著

カビンくんとドンマちゃん
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こんにちは。でこぺんです。
今日は『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』(加藤路瑛著)についてお伝えします。

目次

感覚過敏ってなあに?

感覚過敏とは、どんなものなのでしょう。感覚にもさまざまなものがあります。

  • 視覚(目で見るもの)
  • 聴覚(耳で聴くもの)
  • 嗅覚(匂いで感じるもの)
  • 味覚(味で感じるもの)
  • 触覚(手触りや肌の感覚で感じるもの)

こうした感覚が過敏で、日常生活に困りごとを抱えている状態が感覚過敏になります。

匂いで気分がわるくなったり、人が大勢で話している場所が苦手だったりと、困りごとの内容は人によっても違います。

本に登場する男の子「カビンくん」も、学校給食の匂いや食感、休み時間のざにぎやかな教室の音などで困る場面が描かれています。

感覚鈍麻ってなあに?

感覚鈍麻は、感覚過敏とは反対に、刺激を感じにくい特性です。

例えば、この本に登場する感覚鈍麻のドンマちゃんは、次のようなエピソードが描かれています。

  • 「空腹」「痛み」「寒さ」などを感じにくい
  • 「トイレに行きたい」ことにギリギリまで気付かない
  • 運動は好きなのに、体育や運動会では体が機敏に動かない

感覚は、過敏すぎても鈍麻すぎても日常生活に困難を感じることがあります。また、感覚過敏と感覚鈍麻は、一見相反するように見えますが、その両方の特性を合わせもっている人もいます。

同じ人でも、その日のコンディションで刺激の受け取り方は変わってくることがあります。

たしかに、疲れていたりストレスがたまっていたりすると、いつもなら大丈夫な刺激をつらく感じたりすることがあるね。

「できる」と「できない」の間にも選択肢はある

この本の中で、心に残った一節があります。

「できても、できなくてもいい」

そんなふうに自分の定義をゆるめたら、世界が少し変わって見えた。

ー加藤路瑛著「カビンくんとドンマちゃん」より抜粋

むずかしいと感じることはあるけれど、そのすべてを最初から「どうせ」とはあきらめない。代わりに「これならできそう」って思うアイデアを見つけていく。クラスメイトとの行事エピソードのなかの一場面です。

「できる」と「できない」の間には、工夫や考え方の転換で見つけられる選択肢がたくさんあるように思います。

困りごとをまずは言葉にしてみることで、新しい一歩が始まるかもしれません。

おわりに

著者の加藤路瑛さんは、感覚過敏研究所を運営されています。

研究所のHPでは、視覚・聴覚・嗅覚などの感覚ごとに、困りごとやその原因、病院や学校への相談方法がまとめられており参考になります。

また、研究所のオンラインショップでは、感覚過敏をかわいいキャラクターにしたバッジ、縫い目や生地を工夫した身に着けやすい靴下や衣類なども販売されています。

かわいいキャラクターで、自分の感じかたを前向きに伝えられるところがいいなと思いました。

私も衣類のチクチクが気になるほうなので、こうした衣類が選択肢にあることは、うれしいことだと思います。

感覚過敏研究所内には、感覚過敏の当事者や家族が情報交換できるオンラインサロン「かびんの森」があります。

感覚過敏や感覚鈍麻はまだまだ研究途中で、今のところ「こうすればすぐに良くなる!」という方法はありません。ですが、感じ方は人それぞれであることを知り、自分の感覚への理解を深めてゆくことで、暮らしやすくなる方法を見つけていくことができると思います。

感覚過敏・感覚鈍麻について知りたい方に、まず最初の一歩としておすすめしたい一冊です。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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この記事を書いた人

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